2004年 12月 23日 ( 2 )

■それいけ!クリスマス大作戦(1)


もうすぐクリスマスだ。

街は赤と緑と光で彩られ、心をウキウキ気分にさせてくれている。







クリスマスといえば、主役はサンタクロース。

ここ最近は、日本にも本場フィンランドから、ソリではなく飛行機で、

白髪の割に肌つやの良い、

肥満体のサンタクロースが何人もやってきて、テレビにまで出たりしている。







以前、私の実家がある四国にも、クリスマスイベントに参加するために、

フィンランド公認サンタクロースが、フェリーに乗ってやってきた。

サンタクロースは、何にでも乗るらしい。







そしてイベントの、子供からの質問に答えるというコーナーに、

怪しげな通訳を通して答えていた。








「サンタさん、今年は僕のところにプレゼントを持ってきてくれますか?」

という可愛い質問には、



「君がいい子にしていれば、素敵なプレゼントを持っていくよ~♪」

と、マニュアル通りに快調に答えていたが、











「サンタさんちの電話番号は何番ですか?」

などという唐突な質問には、











「ホォーーホッホッホッホ!


 ○▼φΨ÷□×●♂◎£..」











謎のフィンランド語で答えたっきり、

通訳が訳さないという荒業でしのいでいた。







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クリスマス.....

それは子供にとって1年で一番胸がときめき、

そしてまたスリリングな日である。






あれは私が小学2年生の2学期の終わり頃であった。

クリスマスが近づき、

学校では サンタ信仰派 サンタ不信心派 の2つの派閥に分かれ、

毎日、本気の喧嘩を繰り広げていた。








私はもちろん熱心なサンタ信仰者であった。








毎年、私がずっと欲しかった人形などを、

いつのまにやらリサーチしていたらしい優秀なサンタクロースが、

スケジュール管理も素晴らしく、

きっちりクリスマスイブの深夜に持ってきてくれていたからだ。







また我家は、家中の扉の鍵をキッチリ閉めてから就寝する習慣があったのだが、

サンタクロースは必ず、裏口の扉の外にプレゼントを置いてあったところが、








「あ~~今年もサンタさんは、

ドアに鍵がかかってたから、家の中に入れなくて、

ドアの外にプレゼントを置いて帰ったんだな」



と思わせ、私の信仰心を高めていた。









そんなある日、学校から帰って、

私は家の近所にあるお習字の教室に行っていた。

そこでも、やはりみんなの話題の中心は、サンタクロースについてであった。

そんな時、ある女の子がすごいことを口走った。









「私、去年サンタさん見たよ」














マジか?













みんながウソーー!と突っ込む中、その子は平然と言った。


「赤い服着て、小川商店の前歩いてたで」


具体的な店の名前が出たことによって、みんな騒然となった。










小川商店と言えば、我家のすぐ近くではないか。

羨ましすぎる!なんてラッキーなヤツなんだ!!







そんな教室内の盛り上がりがピークにさしかかったころ、

お習字の先生が登場して室内は静まった。







すると先生は、今の騒ぎを聞いていたのか、突然こんなお題を出した。


「今年のクリスマス、サンタさんにお願いしたいプレゼントを1つ書きなさい」








先生にそう言われて、子供たちはまた大騒ぎしながら、思い思いに書き始めた。








そして、みんなが、

「ロボット」 「絵本」 「ぬいぐるみ」 などと書いては先生のところに持って行く中、私は、












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と書いて、先生を苦笑させた。












しかし、私は本気であった。









サンタさんが近所で目撃されてるなんて聞いたからには、

私は必ずやサンタさんに会って握手がしたい。

そしてサインをもらうのだ。







いやこの際、

サンタクロースを捕まえてしまった方がいいな。

いつも肩にかついでいる白い袋の中身も見せてもらい、どうせなら一緒に暮らしたい!










こうして私は、

サンタクロース捕獲大作戦 を決行することにした。










12月24日クリスマスイブ当日。

私は朝から忙しかった。

もちろんサンタクロースをがっちり捕まえる準備である。







夜中にウロチョロするらしいサンタを捕まえるには、

まずは懐中電灯が必須である。






母に、

「大きい懐中電灯貸して!」

と言うと、








「何を探すの?」

と言うので、








「サンタクロースだけど」

と答えると、








母は、ギョッとした表情を一瞬浮かべ、

「サンタさん探してどうするの?」

と聞くので、









「捕まえるんだけど」

と答えると、








「ひえっ!」

となぜか自分が捕まえられるかのように驚いた。








しかし今度は妙に冷静で、気味が悪いほど優しい声で、

「サンタクロースは早く寝るいい子の所にしか来ないのよぉ~♪」

と私を諦めさせようとした。







しかし私の決意は固く、

「大丈夫。寝たフリしてそっと覗いて捕まえるから」

と言い、







さらに

「ちゃんと協力してよね」

と母を捕獲隊員として勧誘した。







母は何やら父とボソボソと話をしていたが、

私は更なる準備に忙しい為、自分の部屋に戻った。










続いて準備するのは、手紙である。

サンタクロースに会い、握手を交わした後、

その交わした握手のまま家の中へ引っ張り込む予定だが、

なにせ相手は白髪の老人といえども巨漢であるため、

子供の力では無理かもしれぬ。







その際、せめてサンタさんにサインを書いて欲しい旨の手紙を手渡し、

サインだけでもなんとかゲットしたい。







そう考え、私は便箋に手紙を書いた。

そして便箋の最後に、

サンタさんがサインを書く為の四角い枠を鉛筆で作って書いた。







その手紙がちょうど書き終わった頃、

母から話を聞いたが私の部屋にやってきた。







「サンタクロース捕まえるんか?」

「うん。去年は小川商店の前にいたところを見た子がおったよ」

「ほぉ~~~。捕まえるんなら、懐中電灯だけではいかんやろ」

そう言って、父は私の部屋から出て行き、

なにやら大荷物を持って戻ってきた。












手には、

軍手、ドライバー、金づち、ハシゴ、

太いロープ、ガムテープなどなど。












私の部屋は、あっという間に強盗犯の準備室となった。












様子を見に来た母は、父に、

「んまぁ~~~お父ちゃん!

なんでそんなもんをいっぱい持ってきてるん!

頼んだことと違うやんか!」


と叱りつけた。









しかし父は、笑顔で

「父ちゃんは先に寝るけど、これ使って頑張って捕まえろよ」

と私の肩を叩いて激励してくれた。

すると母はなぜか更に激怒した。









つづき→ それいけ!クリスマス大作戦(2)へ

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by season-maro1 | 2004-12-23 09:57 | 栄えあるオマヌケぴーぷる

■それいけ!クリスマス大作戦(2)




それいけ!クリスマス大作戦(1)

を必ず先にお読みください。




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夜になった。

ついにサンタクロース捕獲決行である。







いつも夜10時くらいには寝てしまう私であったが、

今日は寝ている場合ではない。

生まれて初めて徹夜というものも経験してしまうかもしれないが、

これもサンタを捕獲するという重大な任務のためである。

頑張らなければいけない!







母は、9時くらいから

「起きてたらサンタさんなんか来ないんだから、もう寝なさい」

と、いつもなら「宿題が終わるまで寝るな」 とうるさいくせに、

今日に限ってなぜか私を寝かせようと懸命である。







プレゼントをいっぱい持ったサンタクロースと本当に一緒に暮らせることになったら、

母も絶対嬉しいに違いないのに、

まったく協力しない薄情なやつだ。








親と一緒にテレビを見ていたが、あまりに母が寝ろとうるさいので、

自分の部屋に戻った。

すると8歳上の兄が、

父が持ってきた道具をニヤニヤしながら触っていた。







毎年プレゼントをもらっている兄は、私と同じ信仰派らしく、

「サンタクロースはおるぞ。絶対捕まえろよ」

と私を励まし、そして









「サンタクロースと握手をしたら、

クイッと手首を返してサンタの手をひねれ!」


などと、合気道の技のようなことを私に教えた。








そして兄は、

「頑張れよ。兄ちゃんは靴下置いて先に寝るけどな」

と、タンスの引出しから靴下を取り出して出て行った。








なんだ。一緒に捕まえてくれるのかと期待したのに、

兄も役に立たないようだ。








こうなったら、一人で何がなんでもサンタクロースを捕まえて、

明日の朝、茶の間にサンタを登場させ、

みんなを驚かせてやりたい。








そしてサンタを誘導するためにやはり必要と思われる靴下を私も置いておくことにした。

靴下を置いていない家にはサンタはやって来ないのだ。







いつもサンタさんは裏口の扉の外にプレゼントを置いて帰るので、

いつも通り裏口に出た。

すると兄が、さっき持ち出した靴下をすでに置いてあった。







私もその横に靴下を置いたのだが、なんか物足りない気がする。

そう思って、部屋に戻ってタンスからタイツを取り出し、靴下の横に置いた。







タイツの方が、靴下よりもサンタクロースを早く呼び寄せそうだし、

万一取り逃がしても、靴下よりずっと大きなプレゼントをもらえそうだ。

そして先ほど書いた手紙をタイツの中に入れた。

なんだかネズミ捕りを仕掛けた気分である。








( ̄m ̄*ふふふっ。私はワクワクした。自然に笑みがこぼれる。








部屋の電気を消し、早くから寝ている良い子を装った。

そして手に懐中電灯とロープを持ち、窓を少し開ける。

私の部屋から裏口がちょうど見えるのだ。暗闇の裏口を凝視し張り込みを開始した。

時々、懐中電灯で裏口を照らし確認する。








寒い...。

窓を少し開けているので、すきま風が入って寒い。

しかし、わずかな音も聞き逃すわけにはいけないのだ。










ガチャッ

「んまぁ~~~!まだ起きてるの?

本気でサンタを捕まえる気なん?」


と、母が入ってきた。







「シィーーーーーッ!

静かにしてよ。起きてるのがバレるやんか。」







「....まったく。起きてたらサンタさん来ないって!」

そう言った後、横に置いてあるサンタ捕獲道具を見ながら、







「あ、それからサンタさん見つけても、金づちは危ないからやめてね!

あ、ガムテープも嫌やわ...。」


と、ぶつぶつ言い出した。







嫌って何よ...と、訳がわからなかったが、

「お母ちゃんは先に寝てて。私一人で頑張るから」

と、今度は私が母を寝かしつけ、部屋から追い出した。








それにしてもなかなか現れない。

寒いので、父が持ってきてくれた軍手をはめた。

....と、その時、










ガタン...ガサガサガサ...











来たっ!!











心拍数急上昇。ロープを持つ手に力が入る。











暗闇に何かが動いている。

....間違いなく人影だ。












だんだん近づいてきている。見えたっ!













うわあっ! めちゃ怖い顔! 

しかも服が黒い!













「ふっふっふっ....」












うぎゃーっ!怖いーーーっ!


なんか悪いサンタっぽい。













「頑張っとるかぁ~~?」

へ? 聞き覚えのある声だ。









父であった。

懐中電灯で顔を下から照らしながら近寄ってきていたのであった。









「予行演習じゃ。出足が遅いのぉ~~~。

本番は、もっと早く出てきて

パパッとサンタをロープでしばれよ」



と、物騒なことを私に伝授し、家に入っていった。










あ~~やれやれ。少し腰が抜けてしまった。

でも、頑張らないといけないなと、ロープなどの道具の点検をし、

兄に教わった手首の返し方を復習し、再び張り込み態勢に入った。










そしてしばらく時間がたった。











ガチャッ










「まだ起きてるん?もう早く寝てよっ!

お母ちゃんも明日早く起きないとダメやのに...」


と、また母がキレ気味で入ってきた。









「だからお母ちゃんは先に寝てって言ったやん。」

まったく、捕まえる協力もしないのに邪魔ばかりするやつだ。








「だったら風邪引くから、これ着ておきなさい。」

そう言って、母はハンテンとマフラーを私に着せ、

さらに上から毛布をかぶせた。


動きにくい体勢になってしまったが、これで寒さ対策は万全となった。










しかしサンタは、なかなか現れない。

もう近所までは来ているのだろうか。

そんなことをぼんやり考えながら裏口を見つめ続けた。














.......ふと気がつくと外が明るかった。












ん?












しまった!!!!












ハンテンと毛布で身体が次第に温まり、不覚にも寝てしまった。









慌てて裏口を覗くと、置いてあったタイツがボコンと膨れている!!

うわぁ~~~寝てしまった間に、サンタクロースが来ている!!!








裏口の鍵を開け、扉の外に出ると、

やはり置いてあった靴下とタイツの中にプレゼントが入っていた。









まずタイツの中を見る。

タイツには大きなプレゼントが入っていた。

やはりプレゼントは靴下の大きさに比例するようだ。









そして包み紙をよく見ると、

「ジャスコ」 の文字が書いてあった。



サンタさんは、ジャスコで買い物をするらしい。










さらに中を確認すると、私が書いた手紙が入っていた。

そうだ!手紙は読んでくれたのだろうか?サインは書いてくれたのか?












開いてみると、私が鉛筆で書いて用意した枠の中に、


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と、まぎれもなくサンタの「S」のマークが書かれていたっ!!!









「うわぁ~すごぉ~~~いっ!!」









急いで手紙を持って、台所にいる母のところに駆け寄った。

「見てーーーーーっ!サンタクロースがサインくれた!!!」









「あら、よかったわねぇ」









なんとなくセリフを棒読みするような反応が気に食わなかったが、








「あ、そうそう。サンタさんジャスコで買い物したみたいよ」

と言うと、









「ええっ!!」


と、ものすごい驚きを見せた。










兄にも見せに行こうとしたら、高校一年の兄は、

自分の靴下の中に入っているプレゼントが靴下から抜けないと格闘していたので、

後回しにすることにした。










続いて、父に見せに行ったら、

「ほほぉ~~。んで、肝心のサンタクロースは捕まえたんか?」

と聞くので、








「ほんのちょっと寝てしまった間に来たみたいで、失敗した...」

と肩を落として答えると、








「そうかぁ~~。そしたら今晩も靴下置いといたらまた来るかもしれんぞ。」

と言った。










そんな連続して来るものなのか?










かなり疑問だったが、父がやたら置くように勧めるので、

25日の夜も靴下を置いてみた。

しかし、前日遅くまで起きていたため、すぐ寝てしまった。








翌26日の朝、裏口に出てみると、

ナント!靴下の中にまたプレゼントが入っていた!!









「すごーーーーーい!!!お父ちゃ~~~ん!

お父ちゃんが言うた通り、サンタクロースがまた来たみたい!」









「あ、やっぱり来たんか。なっ!

父ちゃんの言うことは正しいやろがぁ~~。

今日も来るかもしれんぞ。











え?今日も?

24日はイブで、25日はクリスマスだからわかるけど、

さすがに26日は何も関係ないんじゃないの?

そう思ったが、父に言われるとおり、26日の夜も靴下を置いて寝てみた。











すると翌27日の朝、

今度は千円札が靴下の中に入っていた!!












驚いて母に見せると、


「えーーっ!!千円札ーーっ!


うそーーーーっ!」



と、サインの時にはほとんど無反応だった母が、

こっちが驚くほど驚いた。










そして父に報告に行くと、

「うちに来るサンタクロースは、サービス満点やのぉ~~」

と笑っていた。









そうして27日の夜も、28日の夜も....

と調子に乗って毎日靴下を置いてみたら、

サンタクロースは、

結局年末まで靴下の中に千円札を入れてくれた。











そして紅白歌合戦が終わり、除夜の鐘が鳴り終わった頃、


「もうサンタの財布は空っぽや...」


謎のつぶやきをした父が、私にお年玉をくれたのだった....。(完)







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俵太の動画も見てくださいね。

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by season-maro1 | 2004-12-23 09:56 | 栄えあるオマヌケぴーぷる