2004年 08月 30日 ( 1 )

■涙の夏休み物語(後編)



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その後、読書感想文もなんとか書き終え、残すは観覧車を作る工作だけとなった。



工作の観覧車は、一応簡単な作り方の手引書はあったが、

私にはどうやって作ったらいいのか見当もつかず、

手先の器用なに作ってもらうことにした。





高校生になっていた兄は、小学校の工作の宿題というのが懐かしいらしく、

私の 「お兄ちゃん観覧車作ってぇ~♪」 という依頼を快諾してくれた。





どこからか調達してきた割り箸くらいの太さの木片を組み合わせて、2日ほどで作ってくれた。





下に取り付けたハンドルを回すと、

カタカタカタ....と画用紙で作った観覧車のゴンドラが回る仕組みになっている。





女の子らしくピンクの絵の具も塗ってくれ、

とても可愛らしく仕上がり、私は大満足であった♪

私の残された仕事は、この観覧車を壊さず学校に持っていくを探すだけとなった。
 




 
....と、そんな時、離れた部屋から

「できたぞぉ~~~~~っ!!」
 
という声がした。






 
である。







何が出来たのかと思っていると、

「観覧車作ってやったぞ!!」 と誇らしげな笑顔で手招きしている。








いやぁ~~~な予感がしながら、近寄っていくと、

そこには、ごっつい観覧車があった。
 







めちゃくちゃ太い板を釘で打ちつけた観覧車が置いてあり、

色もこげ茶色にペンキで塗られ、その上からニスを塗って光っている。
 







ゴンドラも、茶色の木製で出来ており、

いかにもおっさんの観覧車であった。
 








「ええっ!! でもお兄ちゃんがもう作ってくれたんやけど...」
 
というと、父は 「ふっ....あ~アレか」 と鼻で笑い、






「そんなオモチャみたいなんとコレは違うぞっ。はははぁーーっ」
 
と高笑いをし、 「このハンドル回してみぃ~~~っ!!!」 と命令した。
 
 





私がハンドルを回すと、

なんと観覧車のゴンドラは、ゴォーーーッと高速回転した。






「なっ! すごいやろ~~」
 




 
横で見ていた兄が 「なんか入っとるな...」 と観覧車を覗き込んだ。 すると父が、











「 ベアリングじゃ 」


鼻高々に答えた。
 









なんと父が作った観覧車は、

ベアリング内臓の完璧なるおっさん仕様の観覧車であった。






しかも、他にもあちこち手を加えており、

兄の作ったカタカタカタ....という工作らしい観覧車に比べ、





 
父が作ったのは、

ハンドルを1回転させるうちにゴンドラは3回転する仕組みになっていた。







しかも、ハンドルも軽く、回すたびにゴォーーーーッという音がし、

ゴンドラが吹っ飛ぶ勢いで回転した。






 
小学生の工作の域を完全に越えた観覧車型旋回機であった。
 





とてもそんなものを学校に持っていく勇気などなかった。

「お兄ちゃんのやつ持っていくわ...」 と言うと、






「い~~やっ、コレ持って行け!!」 と言い張る。

しかし、私は兄が作ってくれた可愛い方が断然好きだったので、拒否していると、








「 アホか!

そんなもん持って行ったら、なめられるぞぉ~~!! 」


などと訳のわからぬ理屈をつけてまで怒りまくった。






 
兄も、父が怒りだしたので、

「父ちゃんの作った方を持って行け」 などと言い出し、

母は父の旋回機を袋に入れてしまい、持っていく用意完了とした。










夏休みが終わり9月に入り、絵と工作を持っていく日がやってきた。

夏休み中に作った絵画・工作の発表会の日であった。






ごっつい木で作られた父の作った旋回機が入った袋は、すごく重かった。

肩が抜けそうになりながら、やっとの思いで持って行き、自分の机の上に置いた。







ゴットンという鈍い音が響いたのと、

ほぼ同時に 「なんやそれ!」 という男子の声がする。






「お前のごっついなぁ~~」 と口々に言われる。

そして、一人の男子が、ハンドルに手をかけ、ゆっくり回した。






 
ガラガラガラ....。 ベアリングの音が響く。







「うわ、これハンドル軽っ!」と言いながら、ハンドルを高速回転させた。





 
すると今度はゴォーーーッと、すんごい音と共に

観覧車は高速回転した。







「すっげぇ~~~~」 と男子生徒は感心した。そして、

「お前のお父さん、すごいなぁ~~~」 と言われた。








もうバレバレである。
 






 
そしてついに、絵画・工作の発表会の時間となった。

教室の壁には、全員の 『夏休みの思い出』 の絵画が飾られ、

自分の机の上には、工作の観覧車が展示された。








壁では、夏休み中に行った海水浴の子供らしい絵画の中、

私一人だけ灰色の空にプロ級の漁船の絵という異彩を放ち、


 
机では、青や赤のかわいい観覧車の中、

おっさん仕様の茶光りした観覧車型旋回機が鎮座していた。







それをいろんな先生がメモを取りながら見て回るのだ。







あっという間に、何人もの先生方が、

漁船の絵に釘付けとなり、ニヤニヤし始めた。






 
また観覧車の工作に対しては、どの先生方も生徒の作品をざっと見て回る中、

必ず私の観覧車だけは、興味津々でハンドルに手をかけて回転させ、


教室中に ゴォーーーッ という音が響き、


吹っ飛ぶ勢いで回転するゴンドラに、

先生方も吹っ飛びそうになっていた。








そしてその度に、
小さくなる私がいたのだった.....。 





(完)



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by season-maro1 | 2004-08-30 10:11 | 栄えあるオマヌケぴーぷる